羊の毛の匂い
おはようございます。
春になってきましたが…帽子が二つ出来ました。三國万里子さんデザインの帽子、ポンポンはつけずにちょこっとサイズも変えてあります。
二つとも、毛を染めていない自然の羊の毛糸で作りました。白い方の毛糸は、羊の匂いがすごくしました…懐かしい〜。
ずっと前になるのですが、糸紡ぎ・染色・はた織り講座に通っていたことがあります。その講座で糸紡ぎのときに使っていた羊毛の匂い。動物特有の鼻の奥に残るような匂いが、よみがえってきたのです。嗅覚は、記憶をくっきりと写し出しますよね。
当時、私は落ちこぼれの生徒でした。糸紡ぎがうまくできなくて、糸が切れてばかり。紡いだ糸を染め、織り機で織るのですが、しっかりと紡げていない糸なので切れる切れる…いっこうに織ることができません。
仕事と講座の日が重なると授業を欠席していたので、作品作りはさらに遅れます。おまけに遅刻魔。ほんとにすみませんでした💧
あるとき、生徒さん達みんなで食事に行きました。はた織りの上手だった女性の方に、「私は作るのも下手だし、欠席するし遅刻するしでもうダメです」と泣き言を言ったのです。その方の返事は、意外なものでした。
「あなたはそのままでいいのよ。そのゆっくりなペースがあなただから。あなたはあなたで、それでいいの」
丸めていた背中がすっと楽になるような感覚でした。認めてもらえると、気持ちも切り変わり何とかしようとするものです。その後は夜間の補修に通ったり先生に手伝ってもらったりしながら、作品を仕上げたのでした。
たぶん今でも、糸紡ぎとはた織りはうまくできません。けれど、あの女性の方にかけてもらった言葉は私の中で力となっています。羊の毛の匂いと一緒に、思い出もめぐっていました。
今日もありがとうございました。