おじいちゃん先生のこと

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  こんにちは。最近いいなあと思っている曇り空の夕日。色鉛筆で描きました。ビビッドカラーの夕日を見ると、元気が出ます。

 

  色を塗りながら、学生時代に絵を教わったおじいちゃん先生のことを思い出していました。画家・版画家の先生で、授業の合間に自身の作品も製作していた方でした。

 

  ある日、一階の教室で授業を受けていたときのこと。教室の天井の板がなんだか腐っているような…シミになり、じわじわ広がってる?

 

  二階では、おじいちゃん先生が銅版画用の腐食液を扱っているところでした。腐食液を床にこぼし過ぎたため、二階の床が溶けたのでした。ひえ〜〜。銅板を溶かす液体だから、他のものもすごい勢いで溶かしちゃうのですよね。先生、やってくれますわ。

 

  先生は芸術家だったので、基本的に言うことが「??」でした。そして、道具をすぐになくしてしまうのです。筆とか彫刻刀とか。

 

  道具がなくなると、生徒達は呼び集められました。「君達の中に、私の道具を盗んだ人がいる。正直に言いなさい。許してあげるから」みたいなことを言われます。でもね…誰も盗んでないし、なくしたのは先生ですからね。

  腹を立てた友達が、必死になって探し出したこともありました。

 

  当時は大変な思いもしましたが、今はおじいちゃん先生に教わることができてよかったな〜と思います。思い出すのは、授業後に作品を作っている先生の姿。本当に楽しそうに、製作しているのです。ニコニコしているお顔を見ると、こちらも幸せな気持ちになりました。

 

  先生の描いた絵、版画は、瑞々しくエネルギーにあふれていました。鮮やかな色とまっすぐな筆使い。見ている人の心をつかむのです。

  子どものような先生でいろいろあったけれど、表現することの原点を近くで感じさせてもらいました。感謝しています。

 

  でも、生徒をどろぼう扱いするのはいけませんよね〜。まあ、過ぎたことですが。

  今日もありがとうございました。