渡り鳥を見て

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  知り合いの方が小冊子を作るとのことで、表紙の絵を描かせていただきました。色とりどりの三本の木と続いていく道です。

 

  自宅から少し離れたところにある河川敷が好きで、たまに行ってはぼーっとしたり自然を眺めたりしています。数日前、川の上空を渡り鳥の群れがVの字になって飛んでいくのを見ました。

 

  20羽くらいだったでしょうか。翼を大きく動かして飛んでいる姿がかっこよく、見とれていました。どれほどの距離を移動するのか…想像するだけでも、凄すぎてかなわないなあと思います。

 

  そして、自分がお遍路さんをしていた頃のことを思い返していました。10年ほど前、私は長期休みが取れると四国の道を歩いていました。四国に到着してからしばらくは、体も慣れていないようであまり歩けず、すぐに疲れてしまいます。けれど歩き続けているうちに、体の感覚が研ぎ澄まされていくというか、『ザ!肉体』みたいな在り様になっていくのです。

 

  普段はもうちょっと頭を使っていると思うのですが、『歩く・休む・食べる・寝る』という行為を淡々と繰り返していると、考えるということがスコーンと抜けていきます。「何もなくても、元気な体があればいいよね〜」とお腹の中からの自信が湧いてくるのです。自分が自然の中にしっかり存在していて、地面を踏みしめながら生きている…そのことが理屈ではなく体全体から感じられるので、パワーがみなぎってくるのでした。

 

  渡り鳥達もまさにそんな状態なのかなと思いました。いやいや、複雑になっているのは人間だけで、動物達全般シンプルにどっしりと生きているのでしょう。今の自分自身に対する答えでもあるような気がしてきました。

 

  渡り鳥と四国と、思いをめぐらせた日でした。今日もありがとうございました。